海外展示会のメディアPR活動での個別取材対応

こんにちは。Aalto 福井です。

今回は、海外展示会に出展する企業のPR活動の準備について。
なかでも、個別取材の対応に関して、というちょっと広報マニアックなトピックです。


海外展示会に出展される企業の相談を受ける中で、

『展示会に大きな投資するのに、ただ出展するだけに終わっていて、もったいない!』

と思うことも多々あるので、
海外展示会で、どうやってメディアPR活動を実行するのか、
私たちが取り組んできたことをふまえて、
企業の広報担当者向けに共有したいと思います。


『展示会の現場でもしかしたら、メディアに取材されるかも..!』
という淡い期待をしている企業も多いのですが、なかなかそうはいかないのが現実。

現地に強い海外企業が先んじてPR活動に動いている場合がほとんどで、
メディアの取材というのは、なかなか偶然には発生しません!


前回のブログで、海外展示会での広告手法に関して紹介しましたが、
業界でニュース性のある製品の出展が決まっている場合に有効です。



業界メディアを把握(遅くとも3ヶ月前)

その業界で事業を展開していれば、その業界のメディアや雑誌を購読していることも多いでしょう。

特に、展示会が開催される国の業界メディアは、
業界展示会をカバーすることがほとんどなので、
現地支社の事業担当者や営業担当者に、業界のメディアを確認することから始めます。

「その市場の顧客がこのメディアを読んでいる」という情報ももちろん重要です。

また、オンラインでざっと検索してみて、
過去にその展示会の特集をしているメディアを見つけることもできます。

情報を収集したら、
メディア名、サイトリンク、発行部数や月間訪問数、読者層などを
確認しておきましょう。

業界メディアは、月間訪問数などは多くはないですが、
その読者層は、ビジネスに関連する意思決定者が多い場合もあるので、
数だけではなく、質の把握も重要です。

オフィシャルメディアパートナーも業界で重要なメディアと言えるでしょう。

メディアに紹介できる内容をまとめる(2-1ヶ月前)

プレスリリースの準備の段階で、
事業部や営業担当が用意しているブース出展企画書から、
何をメディアにPRできるのか、要素をまとめていく作業に取り組むと思います。

その際に、メディアに取材してもらうとすれば、
・ブースで何を紹介できるのか(業界にとってインパクトやニュース性があること)
・誰が、いつ、どの言語で、何を話せるのか、という取材対応
(マネジメント、技術トップなどが何を話すか、通訳は必要かなど)
をまとめましょう。

特に、キーマンのコメントなどを含めて、記事化するメディアにとって、
誰を取材できるのかという点は、とても重要です。

また、海外では全く知られていない、理解が異なる場合もあるので、
企業紹介資料など簡潔に英語(現地語)でまとめたもの、
当日に渡すべき資料や製品画像データも用意しておきましょう。


プレスリリースを展開(1ヶ月前までに配信)

多くの企業の場合、展示会の1.5〜1ヶ月前には、
プレスリリースを公開し、メディアに展開します。

大規模展示会の場合は、プレスプレビューの日が設定されていて、
メディア向けに記者会見などが開催される場合もあります。

大きな発表ができる場合は、その機会を活用することも可能です。
(その場合は、もっと事前に準備をしておく必要があります。
 また、別の投稿でまとめます)

プレスリリース公開後すぐに、PR会社などがメディアを誘致したり、
個別ブース誘致、取材のアポイントメントを設定し始めます。

リストアップしたメディアに、メールでプレスリリースを送付する際、
上記で述べたブースでの個別取材対応
(キーマンなど、誰が取材に対応できるのかが重要!)についても記載して、
送付しましょう。

送付しただけでは、見過ごされている場合もあるので、
電話やメールでフォローができると、取材設定の確度は上がります。
(時差や言語の壁があって難しいのはありますが..)

業界で有力なメディア記者の場合は、
展示会の2-3週間前企業への取材が埋まっていて、
だいたい何を執筆するか、どこのブースに訪問するかは、
この時点で決まっています。
(ということで、現場で棚ぼた的取材が少ないということです..)

ここで記者のアポイントメントが取れれば、良い兆しです。

記者は展示会期、展示会後、
取材と執筆で多忙になりますので、
事前に関心のある内容事業に関する理解度を把握しておき、
的確に情報展開や準備ができるように、しておきましょう。

緊急連絡先の交換も忘れずに。

展示ブースでの取材対応

展示会当日、記者との約束の時間に、
取材対応者と記者を迎えましょう。

ブースのハイライト紹介と、取材対応者のコメント
記者にとっての関心内容です。

個別取材に際して、
質問に対して、回答した内容、回答しきれなかった内容に関しても、
メモしておくことを忘れずに。

また、取材内容が、展示会後すぐに執筆する価値のあるものか、
それとも、記者の中で温めて、
少し時期を置いてから業界の比較などを通して、記事になるものか、
今回の取材では、記事化は難しいのか、
確認すると、海外メディア記者の場合は、答えてくれる場合も多くあります。

また、記事化するとすれば、オンライン版なのか、紙版なのか、
いつ頃を予定しているかなど、教えてもらっておくと良いでしょう。

情報が足りない場合は、追加で記者からリクエストがある場合も
多いので、いつまでにどの手段で送付する必要があるかを確認して、
的確に対応しましょう。

また、今後も情報の送付を通して、
コミュニケーションをしていきたいという意思を伝え、
合意をいただいておくと、
今後の信頼関係構築開始のきっかけにつながります。

取材後フォロー

展示会期、展示会直後は、記者や編集部は多忙を極めます。

電話やメールでの執拗なフォローは避けた方が良いですが、
掲載の確認アップデートはしておきましょう。

オンライン記事の場合は、
・Googleアラートで、企業名や発表内容を設定しておいて拾う
・メディアを確認し、記事掲載があるか確認する
ことでもカバーできます。

通常、記者の視点を通して、取材・執筆される場合は、
記事の事前の確認や修正ができることはありません。

記者によっては、事実確認で連絡があり、
記事の内容を事前に確認できる場合もありますが、ごく少ないといえます。

取材の中で、伝えたことは記事になる場合がありますので、
公開できること、できないことについて、
トラブルを避けるためにも、取材段階での管理が重要です。

多忙な会期中にブース取材、執筆に取り組んでくれた
記者に感謝を伝えつつ、この展示会にとどまらず、
今後も良い関係づくりを続けるように努力していくことが重要です。

それでは、また!

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Mariko Fukui
海外メディア戦略 / コンサルタント
PR会社、海外事業会社などを経て、ヨーロッパと日本を拠点に、日本企業の海外情報発信の戦略構築や人材育成のコンサルタントをしています。海外メディア広告、PR、海外展示会など、主に大手製造業のコーポレートコミュニケーションを担当しています。まだまだ日本企業での海外PRの専門家の育成はこれからですが、できるだけ多くの担当者と海外向けコミュニケーション戦略や手段を共有すべくブログでの発信をはじめました。
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